家族信託の契約書

家族信託契約 家族信託・民事信託

家族信託は、委託者と受託者との間で信託契約を締結することが必要です。
この契約に基づいて、受託者は信託事務を行うことになります。
信託事務とは、法的には、委託者から託された財産を適切に管理・処分し、その財産又は財産から生じる利益を受益者に帰属させるということです。
委託者としては自身の財産の管理・処分を受託者に託すわけですし、受託者には契約内容に沿った信託事務を行う義務があります。
よって、委託者と受託者がお互いに十分納得できる契約を締結することが大切です。

信託契約書を作成する上での注意点

1.委託者と受託者だけで契約書を作成することはお勧めしません

インターネットで検索をすれば、信託契約書の雛形はある程度ヒットするようになりました。

しかし、家族信託の内容は多種多様。十人の委託者がいれば十通りの意向(信託の目的)があり、その意向に沿って契約書の内容は肉付けされ、形になっていきます。
安易に雛形どおりの契約書を作った場合、後々委託者の意向が適切に反映されていないなどの事態が発生することも考えられます。
ですから、雛形どおりに作ればよいというわけではないのです。
信託契約書を作成する場合は、弁護士又は司法書士等、信託に精通している専門家に依頼することをぜひお勧めいたします。

2.信託契約書は公正証書で作成する

信託契約は、前述のとおり委託者と受託者との間の契約で有効に成立しますので、法的には公正証書で作成する必要はありません。
しかし、信託事務は多岐にわたり、期間が長期に及ぶことも少なくありません。よって後々、信託契約がトラブルの火種になることもあり得るのです。
ここで、信託契約を公正証書で作成することのメリットをいくつかあげてみます。

  1. 信託契約書の原本は公証役場に保管されますので、紛失しても再発行が可能です。
  2. 将来トラブルが発生した場合、公証人が作成に関与したことが残る。
  3. 金融機関で信託口口座を作る際、信託契約書が公正証書であることを要求される場合がある

などがあります。

信託契約書を作成する上で重要なこと

さて、実際に信託契約書を作成する場合、決めなければいけない事項は沢山ありますが、中でも大切な事項をいくつかあげてみます。

1.信託の目的は何か?

信託の目的(なぜ信託をするのか?)は信託の根幹です。委託者の願いと言い換えることもできます。また、受託者はこの信託の目的を達成するために信託事務を行うわけですから、この信託の目的が明確でなければ信託事務を適切に行うことはできません。逆に言えば、この信託の目的が具体的であればあるほど、他の決定事項は自ずと決まっていくものです。

2.信託財産は何か?

これは1.の信託の目的によってある程度決まっていくでしょう。例えば、ご自身が亡くなった後の配偶者の生活費が心配であるということならば、預金や現金などを信託財産にすることが多いでしょう。また、会社を経営している方で、まだまだ現役を続けるが、将来は子供に会社を継がせたいということであれば、ご自身の持っている会社の株式ということになります。繰り返しになりますが、信託財産は、信託の目的によって変わってきますから、まずは、信託の目的をはっきりさせることが大切です。

3.受託者は誰にするか?

受託者は、委託者から託された信託財産を適切に管理・処分しなければなりません。よって、受託者は、委託者にとって十分信用に足る方でなければなりません。自分の子供だから、親戚だからといった安易な気持ちで決めることはせず、専門家と相談のうえ、熟慮して決定する必要があります。

4.受益者は誰にするか?

上記2.の信託財産は何かの例によれば、第一受益者は委託者自身とし、第二次受益者として、配偶者や将来会社を継ぐであろう子供ということになります。こちらもやはり信託の目的から自ずと決まっていきます。

5.信託期間をいつ終了するか、終了後の信託財産の帰属先は誰にするか?

信託は期間を決めることができます。また終了事由を定めることができます。その期間や終了事由が発生すれば信託は終了しますのでいつ信託を終わらせるか、決めておくことが重要です。また、信託終了時の信託財産を誰に帰属させるかということも重要です。信託には遺言と同様に信託財産の最終帰属先を決定できるという大きな利点があります。将来起こり得る様々な状況を想定し、委託者自身の意向を基に、専門家としっかり相談して決めることが大切です。

家族信託は、委託者の意向を十分に反映できるスキームです。だからこそ、その意向を実現するために、信託契約書はしっかりとした内容にする必要があるのです。もし信託契約をお考えの場合は、安易にご自身で契約書を作成するのではなく、事前に、弁護士や司法書士などの専門家にご相談されることをお勧めいたします。